大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福島地方裁判所 昭和59年(わ)166号 判決 1984年9月13日

本店所在地

福島県郡山市図景二丁目一八番二八号

有限会社滝田蒟蒻店

(右代表者代表取締役滝田安治)

本籍

福島県郡山市堂前町三七番地

住居

宮城県刈田郡蔵王町大字曲竹字道路西一番地

会社役員

滝田安治

昭和一二年七月一八日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官河野芳雄、同若狭勝、弁護人長田弘各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社滝田蒟蒻店を罰金一二〇〇万円に処する。

被告人滝田安治を懲役一〇月に処する。

被告人滝田安治に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(犯行に至る経緯)

被告人有限会社滝田蒟蒻店(以下「被告会社」という。)は、福島県郡山市図景二丁目一一番二八号に本店を置き、蒟蒻原料の販売・加工等を目的とする資本金三〇〇万円の有限会社であり、被告人滝田安治は、被告会社の代表取締役として、同社の業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人滝田は、昭和五七年八月に、群馬県地方を襲った台風被害により、蒟蒻芋の生産量が、前年度に引き続いて激減し、販売価額が二倍ないし三倍に高騰したことに着目し、大量に蒟蒻芋を購入し、それを加工した粉を販売することによって、多大の利益を獲得しようと決意し、そのためには多額の資金を必要とするところから、被告会社の所得の一部を秘匿しようと考え、仕入先に依頼して架空の請求書及び領収書を作成させ、これを使用して公表上にも架空の仕入を計上し、さらに売上げの一部を納品書及び領収書を作成せずに、公表上にもこれを除外するとともに、棚卸資産の一部を除外するなどの方法により、被告会社の所得の過少申告をなして、被告会社に課されるべき正規の税金を免れようと企てるに至った。

(罪となるべき事実)

被告人滝田は、被告会社の業務に関し、正規の法人税を免れようと企て、架空仕入、売上除外、棚卸資産除外などの帳簿上の操作により、所得を秘匿したうえ、昭和五七年八月一日から昭和五八年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額は、損益計算法に基づき、別紙(一)の「修正損益計算書」記載のとおり、一億六二〇〇万八九一三円であったのにかかわらず、同年九月三〇日、同県同市堂前町二〇番一一号所在の所轄郡山税務署において、同税務署長に対し、所得金額は三二五八万三六七四円であり、これに対する法人税額は一二五三万四三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、別紙(二)の「脱税額計算書」記載のとおり、被告会社の同事業年度の正規の法人税額六六八九万二八〇〇円と右申告税額との差額五四三五万八五〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人滝田の当公判廷における供述

一  被告人滝田の検察官に対する供述調書

一  被告人滝田の大蔵事務官に対する質問てん末書一〇通(昭和五九年二月二一日付を除いたもの)

一  佐藤富夫作成で、有限会社滝田蒟蒻店(代表取締役滝田安治)提出の上申書

一  佐藤富夫(三通)、安藤秀、浅黄勇、服部寿征、田中喜久男、菅シズエ、斉三郎、会田洋子、会田勝、金沢栄司(二通)、沼沢正吉、遠藤運太郎、兼子利喜雄、須藤篤の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  木内昭吾、板垣祐太郎、奥山れい子(有限会社住吉屋食品代表取締役住吉久三郎提出)、会田寅一、税理士鈴木卓雄(有限会社海老商店代表取締役海老達治提出)、中里勇、木内義衛、井上勝人、金沢栄司、阿久津守弘作成の各上申書

一  検察事務官作成の電話聴取書

一  滝田愛子作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一  宍戸文右エ門作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一  大蔵事務官作成の「売上除外額等調査書」と題する書面

一  大蔵事務官作成の「たな卸高調査書」と題する書面

一  国税査察官作成の調査報告書

一  大蔵事務官作成の「裏出納帳記載内容調査書」と題する書面

一  大蔵事務官作成の「架空仕入等調査書」と題する書面

一  大蔵事務官作成の「簿外経費等調査書」と題する書面

一  大蔵事務官作成の「交際費等の損金不算入額調査書」と題する書面

一  大蔵事務官作成の「事業税認定損調査書」と題する書面

一  大蔵事務官作成の「青色申告の承認の取消通知書」と題する書面の謄本

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書」と題する書面

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書説明資料」と題する書面

一  大蔵事務官作成の「昭和五七年八月一日、昭和五八年七月三一日事業年度分の修正申告書」と題する書面の謄本

一  大蔵事務官作成の「法人税納付領収書」と題する書面の謄本

一  登記官作成の会社登記簿謄本

一  押収してある裏出納帳一綴(昭和五九年押第三八号の一)、総勘定元帳一綴(同号の五)、及び法人税確定申告書一綴(同号の二八)

(法令の適用)

判示所為は被告会社の関係では法人税法一六四条一項、一五九条一項に、被告人滝田安治の関係では同法一五九条一項に各該当するところ、被告人滝田安治について所定刑中懲役刑を選択し、被告会社については、情状により(法人税法一五九条二項)、免れた法人税額に相当する金額以下にするものとしてその金額の範囲内で罰金一二〇〇万円に、被告人滝田安治についてはその所定刑期の範囲内で懲役一〇月に各処し、被告人滝田安治に対し情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間、右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 野口頼夫)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和57年8月1日

至 昭和58年7月31日

<省略>

修正損益計算書

自 昭和57年8月1日

至 昭和58年7月31日

<省略>

別紙(二)

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例